真空成形機とは?基本知識や使用例・メリット&デメリットを解説

真空成形機とは?基本知識や使用例・メリット&デメリットを解説

真空成形機という言葉を聞いて、どのような機械を思い浮かべるでしょうか? 科学の進歩に伴い、真空成形はさまざまな製品に利用され、私たちの生活を豊かにしてくれています。

今回は、真空成形機の概要やメリット・デメリットについてご紹介していきます。

真空成形機とは?

真空成形とは、熱を加えることによって熱可塑性のプラスチック(樹脂)シートやフィルムを軟化させ、真空によって成形型に密着させて一定の形状を作成する加工方法です。

真空成形機では、この加工方法を用いてさまざまな形状を生産し、真空成形後に余分な箇所を切断することで製品が完成します。

熱を加える手法は古くから行われてきた加工方法です。プラスチック製品が私たちの生活に欠かせない現代では、ますます真空成形が重要視されています。

真空成形には、「連続成形」と「単発成形」のふたつの加工方法があります。

連続成形

連続成形では、ロール状に巻かれたシートやフィルムを使用して成形を行います。0.2~1mmほどの薄い製品を生産することが可能です。

生産性が高く、大量生産に向いている加工方法と言えます。

単発成形

単発成形では、ロール状に巻くことが困難な2~6mmほどの厚みがあるシートを使用して成形を行います。成形型よりひと回り大きなシートを真空成形機にセットし、ひとつずつ製品をつくりあげます。

さまざまな形に対応でき、少量生産に向いている加工製品と言えるでしょう。

真空成形機が利用されている製品例

真空成形が利用されている製品は、身の回りでも見つけることができます。

例えば、卵のパックや食品トレー、空調カバー、バスタブ、自動車のダッシュボード・バンパーなどが挙げられます。

小さな製品から大型製品まで、幅広いアイテムに真空成形が用いられているのです。

真空成形と間違えやすい成形方法

真空成形と間違えやすい加工方法として、「射出成形」と「空圧成形」をご紹介します。真空成形と比較しながら、それぞれの特徴を確認してみてください。

射出成形

射出成形は、熱したプラスチック(樹脂)を成形型に流し込み、冷却して固める加工方法です。プラスチックの成形方法としては最もポピュラーな加工方法と言えます。

真空成形は薄い製品も生産することができますが、射出成形は薄い製品が苦手です。一方、真空成形は余分な箇所を切断する後処理が発生しますが、射出成形は後処理がほとんど必要ありません。

圧空成形

圧空成形は、プラスチック(樹脂)に圧縮空気で圧力を加え、金型の形状を写し取る加工方法です。

真空成形では「真空吸引力=マイナスの空気」を利用するのに対し、圧空成形では「圧縮空気=プラスの空気」を利用する加工方法と言えます。

圧空成形では、よりシャープな形状の製品をつくりあげることが可能です。自動車の内装や医療機器のフロントカバーなどに用いられています。

真空成形機のメリット

ここからは、真空成形機のメリットについて確認していきましょう。真空成形ならではの特徴があるので、ぜひご参考ください。

成形する型が安価

射出成形では凹凸両面の型が必要になる一方、真空成形では凹または凸のどちらか片面のみの型で生産できるため、費用が安価になります。

さらに、真空成形は成形する樹脂の種類や生産数、形状によって型の材質を変更することが可能です。

木型や樹脂型、金型など目的に応じて選択できるため、型の費用を抑えられる可能性があります。

短期間で製作できる

真空成形では凹または凸のどちらか片面のみの型で生産を開始できるため、短期間で製作することが可能です。お急ぎの案件に素早く対応でき、実質的なコストも低く抑えられるでしょう。

小ロットから生産できる

型費用が安価になるため、小ロットから生産することができます。1ヶ月に数十個程度の少量生産や中ロット生産に向いている加工方法と言えます。

また、薄肉形状や大型で高面積な製品も成形できるため、オーダーメイドの製品にも対応可能です。

カバーのような薄い製品など、市場にはさまざまな真空成形品が出回っています。

部分的に形状を変更できる

真空成形では、後工程のトリミング加工にて形を整えられるため、成形型を変更せずに部分的な形状を変更することができます。あるいは、型形状そのものを削ったり溶かしたりして変更することも可能です。

形状変更について柔軟に対応できる加工方法と言えるでしょう。

真空成形機のデメリット

続いて、真空成形機のデメリットについて確認していきましょう。特徴を理解したうえで、適切な加工方法を選択することが大切です。

加工工程が長い

真空成形は冷却後にトリミング処理が必要となるため、射出成形と比較すると加工工程が長い手法と言えます。ひとつの製品をつくるにあたって、生産サイクルが長くなってしまうのです。

厚さや精度がばらつく可能性がある

真空成形はプラスチックのシートやフィルムを伸ばす加工方法であるため、形状によっては厚さに偏りが生じ、肉厚が薄くなったり精度にばらつきが出たりする可能性があります。

特に、コーナー部分や型にあたらない箇所では寸法精度にばらつきが起こりやすいです。

材料ロスが発生する

現在、プラスチックは環境問題のひとつとして大きく取り上げられています。一方、真空成形は外周部分を切断する後工程が必要なため、余分な材料が発生してしまう加工方法です。

射出成形と比較すると、材料ロスが多いと言えるでしょう。

真空成形についてのまとめ

今回は、真空成形機の概要やメリット・デメリットについてご紹介してきました。

真空成形は熱を加えたプラスチックに真空吸引力を加え、形を整える加工方法です。少量生産から大量生産まで幅広いニーズに対応でき、薄い食品トレーや大きな車の部品まで、さまざまな製品として利用されています。

成形に使用する型を安くつくることができ、部分的な形状の変更にも対応可能です。一方、加工工程が長く、寸法精度のばらつきや材料ロスが発生してしまうデメリットもあります。真空成形の特徴を理解した上で、適切な加工方法を選択することが大切です。

真空成形は今後も私たちの生活を豊かにしてくれるでしょう。身の回りに真空成形を用いた製品がないか、探してみてください。