金属膜コーティング

金属膜コーティング

基板表面に金属を薄く被覆する技術

金属膜コーティングは、基板表面に極薄の金属層を形成する先端技術です。エレクトロニクス、光学、半導体など幅広い産業で活用され、製品の性能向上に貢献しています。

本記事では、金属膜の基本、選択基準、形成方法、そして多様な応用分野について詳しく解説します。

金属膜とは?


金属膜は、基板表面に金属をコーティングした薄膜の一種です。シリコンウエハーなどの表面に金属をコーティングすることで、「接合時の気密性」「耐熱性」「長期信頼性」などの特性の向上に貢献します。

主に使用される材料には、金、銀、アルミニウムなどがあります。これらの金属膜は、酸化を防ぐために酸化ケイ素の保護膜と組み合わせて使用されることが多いです。

金属膜の選択基準

主要な金属膜の材料としては、前述した金(Au)・銀(Ag)・アルミニウム(Al)の他に、クロム(Cr)・銅(Cu)などが挙げられますが、金属膜の選択には、以下の要素を考慮する必要があります。

電気特性

比抵抗の低さが重要な場合、Cu、Al、Au、Ag合金が適しています。

光学特性

反射率が重要な場合、Au(赤外域)やAg合金(可視光域)が優れています。

コスト

経済性を重視する場合、AlやCrが選択肢となります。

加工性

ウエットエッチング性が良好なAl、Au、Crが加工しやすいです。

密着性

ガラス基板との密着性が重要な場合、中間層の使用や表面処理が必要になることがあります。

耐久性

耐食性や耐熱性が必要な場合、Auが適しています。

環境配慮

環境規制を考慮する場合、Crの使用には注意が必要です。

これらの特性を比較することで、特定の用途に最適な金属膜を選択することができます。例えば、高反射率と低抵抗が必要な光学部品には銀合金膜が、耐食性と赤外反射率が重要な用途には金膜が適しているといえます。

金属膜コーティングの形成方法

スパッタリング

プラズマ中のイオンを金属ターゲットに高速で衝突させる技術です。衝突の結果、ターゲット表面から原子やイオンがはじき飛ばされます。飛散した粒子は基板上に堆積し、均一な薄膜を形成します。

スパッタリングは高融点金属や合金の成膜に適しています。また、反応性ガスを導入することで、窒化物や酸化物などの化合物薄膜も作製可能です。

CVD(化学気相成長法)

原料ガスを反応室に導入し、化学反応や熱分解を利用して薄膜を形成する方法です。熱CVDでは高温の基板上で反応を促進させます。一方、プラズマCVDはプラズマのエネルギーを利用するため、より低温での成膜が可能となります。

CVDは複雑な形状の基板にも均一なコーティングができる利点があります。また、高純度で緻密な膜質が得られやすいのも特徴です。

蒸着法 

真空チャンバー内で金属材料を加熱し、気化・蒸発させて基板上に薄膜を形成します。抵抗加熱蒸着法では、金属線や金属ボートに電流を流して加熱します。電子ビーム蒸着法では、電子ビームを金属ターゲットに照射して局所的に加熱・蒸発させます。

蒸着法は比較的単純な装置構成で実施できる利点があります。また、高純度の薄膜が得られやすく、蒸着速度の制御も容易です。

金属膜コーティングの応用分野

ミラーコーティング

金属膜は可視光や紫外線に対して高い反射率を持つため、光学ミラーの製造に広く使用されます。アルミニウムや銀などの金属膜をガラスやプラスチック基板に蒸着させることで、高性能なミラーが作製できます。
天体望遠鏡の反射鏡や自動車のバックミラーなど、様々な用途に応用されています。

電極材料

金属膜は優れた導電性を持つため、各種電子デバイスの電極として利用されます。液晶ディスプレイの透明電極や、タッチパネルのセンサー電極などに使用されます。

金、銀、銅などの金属膜が主に用いられ、薄くても十分な導電性を確保できる特徴があります。

光学部品

金属膜は光学部品の性能向上に貢献します。レンズやフィルターの反射防止膜として利用され、光の透過率を高めます。また、光学素子の表面保護膜としても使用され、傷や腐食から部品を守ります。

さらに、特定の波長を選択的に反射・透過させる干渉フィルターの製造にも応用されています。

半導体製造

半導体デバイスの製造プロセスにおいて、金属膜は不可欠な要素です。集積回路の配線材料として使用され、微細な電気信号の伝達を担います。また、トランジスタやダイオードの電極形成にも用いられ、デバイスの性能や信頼性に大きく影響します。

アルミニウムや銅などの金属膜が主に使用されています。

装飾・意匠

金属膜は美しい外観や高級感を演出するために、装飾品や工業製品に利用されます。金や銀のコーティングは宝飾品に輝きを与え、クロムめっきは自動車部品に耐久性と光沢を付与します。

防食・耐摩耗コーティング

金属膜は様々な工業部品の表面処理に使用されます。チタンや窒化チタンなどの硬質金属膜は工具や機械部品の表面に形成され、耐摩耗性や耐食性を向上させます。

日本真空株式会社の金属膜コーティング


日本真空光学株式会社は、光学薄膜技術の専門メーカーとして金属膜コーティングサービスを提供しています。金、銀、アルミなどの金属膜を各種基板へコーティングすることが可能です。

主な特徴

赤外線イメージセンサーの高感度維持に必要な真空封止に適したハンダ付け用のメタライズ加工が可能

真空蒸着技術を用いて、高品質な金属薄膜を形成

イオンプレーティング法により、高密度で付着強度の高い薄膜を実現

用途

金属薄膜ミラー,ハンダ封止など
様々な種類の金属でコーティング実績があります。

金(Au), 銀(Ag), アルミ(Al), 銅(Cu), クロム(Cr), 白金(Pt), ニッケル(Ni), チタン(Ti), タングステン(W), モリブデン(Mo), タンタル(Ta), ハフニウム(Hf), ニオブ(Nb)など

特性例

近赤外用金ミラー


金ミラーは近赤外~赤外域の広い帯域で高反射率を有します。

アルミミラー


アルミミラーは可視光~赤外域で使用できます。可視光では85%程度、近赤外~赤外域では90%程度の反射率があります。

▶︎日本真空光学の光学薄膜技術や製品について詳しく見る