バンドパスフィルター (BPF)

バンドパスフィルター (BPF)

特定の周波数帯の光を透過する光学フィルター

バンドパスフィルターは、電子工学や信号処理の分野で広く使用される重要な要素です。特定の周波数帯域の信号を通過させ、それ以外を遮断する機能を持ち、通信システムから医療機器まで多岐にわたる応用があります。

バンドパスフィルターの基本原理、主要な特性、そして実際の応用例について詳しく解説します

バンドパスフィルターとは?


バンドパスフィルターは、特定の周波数帯または波長帯の物理現象を選択的に透過させ、それ以外を遮断するフィルターの一種です。信号処理、通信、オーディオ機器、無線技術などで広く利用されます。

バンドパスフィルターの動作原理

回路構成

バンドパスフィルターは、一般的にローパスフィルター(低周波数を通過させる)とハイパスフィルター(高周波数を通過させる)を組み合わせた構成で実現されることが多く、特定の中間周波数帯域のみが通過できるようになります。

共振回路

バンドパスフィルターは、共振回路を利用して設計されることもあります。共振回路は、特定の共振周波数でエネルギーの交換を行い、その周波数帯域のみを通過させます。この共振周波数がフィルターの中心周波数(Center Frequency)となります。

周波数応答

バンドパスフィルターの周波数応答は、通過帯域(Passband)、遮断帯域(Stopband)、中心周波数(Center Frequency)、帯域幅(Bandwidth)によって特徴づけられます。通過帯域内の周波数はほぼそのまま通過し、遮断帯域の周波数は大幅に減衰されます。

バンドパスフィルターの主な特性

通過帯域

バンドパスフィルターが信号を通過させる周波数の範囲です。この帯域内の周波数成分は、ほぼ減衰せずにフィルターを通過します。通過帯域の外側の周波数は抑制されます。

中心周波数

通過帯域の中央に位置する周波数です。フィルターの設計において重要なパラメータの一つです。通常、フィルターの最大応答は中心周波数で得られます。

バンド幅

通過帯域の幅を指します。通常、-3dBポイント(信号強度が半分になる点)間の周波数範囲で定義されます。バンド幅が広いと、より多くの周波数成分が通過しますが、選択性は低下します。逆に、バンド幅が狭いと、特定の周波数をより正確に抽出できます。

Q値

フィルターの選択性を示す無次元の指標です。中心周波数をバンド幅で割った値で表されます。Q値が高いほど、バンド幅が狭くなり、フィルターの選択性が高くなります。
これらの特性は相互に関連しており、フィルターの設計や使用時に適切に調整することで、目的に応じた信号処理が可能になります。

バンドパスフィルターの用途例


エレクトロニクスと
信号処理

無線通信
特定の周波数帯域の信号を選択的に受信・送信するために使用されます。不要なノイズや干渉を排除することが可能です。

オーディオ機器
特定の音域(例えば、中音域)を強調するために使用され、音質の向上が図れます。

光学分野

蛍光顕微鏡
特定の波長の光のみを透過させることで、蛍光染色された試料の観察を行います。

分光分析
特定の波長の光を選択的に透過させることで、物質の特性を分析します。例えば、Hαフィルターは太陽観測に使用されます。

大気科学

気象データ分析
特定の期間の気象データをフィルタリングすることで、サイクロンなどの特定の気象現象を抽出します。

赤外線技術

赤外線分析装置
特定の赤外線波長を透過させることで、ガス分析や温度測定を行います。例えば、CO2やNOxの濃度検知に使用されます。

光通信機器
特定の波長の光を透過させることで、通信の効率を向上させます。

医療機器

医療用センサー
特定の波長の光を透過させることで、血中酸素濃度の測定などに使用されます。

日本真空光学のバンドパスフィルター

光学薄膜メーカーである日本真空光学は、バンドパスフィルターをはじめとした様々な光学フィルターを提供しています。

紫外領域から赤外領域まで広範な波長帯域に対応し、ワンストップでのサービスを提供。この広範な波長帯域のカバレッジにより、半導体の製造装置や検査装置、赤外線カメラなど多岐にわたるアプリケーションにおいて優れたパフォーマンスを実現し、さらにコストとスピードの面でも大きな優位性を持っています。

▶︎日本真空光学の光学薄膜技術や製品について詳しく見る

バンドパスフィルターにおいては、使用環境や用途によって、ハードコートとソフトコートの2タイプから選択いただけます。

ハードコート バンドパスフィルター


ハードコートのバンドパスフィルターは、プラズマイオンプロセスによるコーティングにより、優れた耐久性を誇ります。薄膜の界面で発生する反射光の干渉現象を利用して、特定の波長を選択的に透過させることが可能です。

また、吸収型の色硝子やゼラチンなどのフィルターと比較して、透過する帯域を狭く限定することができ、急峻に透過帯と遮断帯を分離するため、非常に明瞭なコントラスト特性を実現します。さらに、阻止性能においては可視領域でOD6以上に対応可能です。対応波長域は紫外線領域から赤外線領域までカバーしています。

用途

LiDAR、3Dセンシング、蛍光分析、ラマン分析、露光装置、医療、ガス分析、レーザー、光通信、天体観測、各種センサーなど

ソフトコート バンドパスフィルター


MIF(金属干渉フィルター)とDIF(全誘電体干渉フィルター)を取り扱っています。

阻止帯を広げるためには、下図のように複数のフィルターを組み合わせて構成されます。ソフトコートの場合、通常はLPF(ローパスフィルター)として色ガラスを使用し、色ガラスの吸収により紫外線から可視光域を阻止します。

MIFおよびDIFは標準で阻止域が決まっていますが、さらに広げることも可能です。一方、ハードコートのバンドパスフィルターは単一基板での対応が可能です。

用途

蛍光分析、ラマン分析、医療、モノクロメーター、レーザー、光通信、天体観測、各種センサーなど

硝子板や石英板上に半透明金属膜、透明誘電体膜、半透明金属膜の3層構造を形成し、その上にさらに硝子や石英を張り合わせたフィルターです。この2つの金属膜の光学的な間隔が特定の波長の1/2またはその整数倍であるとき、その光を最も多く透過し、他の光はほとんど透過しません。透過帯のスロープ(すそ切れ)により、S型とW型の2種類があります。

DIF(全誘電体干渉フィルター)


MIFの半透明金属膜を誘電体多層膜に置き換えたタイプです。誘電体多層膜は透明度が高いため、透過率が向上し、透過光の波長をよりシャープに限定することが可能です。半値幅が狭く、シャープな透過特性を持つA/B/Cタイプと、半値幅が広いBPFタイプがあります。