赤外線サーモグラフィーとは? 特徴・注意点・応用分野を解説

赤外線サーモグラフィーとは? 特徴・注意点・応用分野を解説

赤外線サーモグラフィーは、対象物に直接触れることなくその表面温度を測定できる技術です。赤外線エネルギーを捉えることにより、温度の分布を色で示すことができ、工業、医療、安全保障など様々な分野での応用が期待されています。

本記事では、赤外線サーモグラフィーの基本原理、特徴、注意点、そして多岐にわたる応用例を詳細に解説します。

赤外線サーモグラフィーとは?


赤外線サーモグラフィーは、赤外線を用いた温度測定の技術であり、対象物に直接触れることなくその表面温度を計測することができます。

技術の根幹には、全ての物体がその温度に応じて赤外線エネルギーを放射するという原理があります。赤外線カメラは、この放射エネルギーを捉え、特定の温度範囲を色で可視化して表示することができるのです。

赤外線サーモグラフィーの特徴

非接触での温度測定が可能

赤外線サーモグラフィーの最大の利点の一つは、対象物に物理的に触れることなく温度を測定できることです。接触型の温度計と異なり、熱や移動中のオブジェクトを扱う際に特に便利です。

この技術は、製品の品質を保つために重要な役割を果たし、製品を傷つけるリスクを排除します。

広範囲の温度測定が可能

赤外線サーモグラフィーカメラは、広い範囲の温度を迅速に把握する能力を有しています。この技術を利用することで、大きな施設や広範囲にわたる屋外環境の温度分布を一目で確認できるため、エネルギーマネジメントや環境監視に理想的です。

暗闇や煙の中での温度測定が可能

赤外線サーモグラフィーは可視光に依存しないため、夜間や煙が充満している状況でも温度を正確に測定できます。この特性は消防士が火災時に炎や煙を通して熱を感知するのに役立ち、救助作業の安全性と効率を向上させます。

温度分布の可視化

赤外線カメラは温度を色で表現することにより、視覚的に温度分布を示します。異なる色が異なる温度を示すため、熱の損失が見られる場所や過熱している部分を素早く特定できます。建物の断熱効果のチェックや電気的な故障の早期発見に非常に有効です。

高速な温度測定が可能

赤外線サーモグラフィー技術は、高速で動作するプロセスの監視にも適しています。例えば、1秒間に数百フレームの温度データを提供できるため、製造ラインの動作中に発生する熱の変動をリアルタイムで捉えることが可能です。

製造過程の最適化や不具合の迅速な特定に役立ちます。

湿度の測定が可能

一部の赤外線サーモグラフィーシステムでは、専用の温湿度計を組み合わせることで、表面の湿度も測定できます。この機能は、特に木材や建築材料の湿度管理が重要な場面で価値があります。

正確な湿度情報は、材料の適切な乾燥プロセスを保証し、品質を維持します。

赤外線サーモグラフィーの注意点

内部温度の測定が不可能

赤外線サーモグラフィーは物体の表面から放射される赤外線エネルギーを捉えるため、表面温度のみを測定することができますが、一方で内部の温度変化や核心部の熱を直接観察する能力には欠けています。

そのため、隠れた熱的問題や内部の異常を直接的に検出する用途には適していません。

ガラス・アクリル越しの測定が不可能

赤外線カメラは、ガラスやアクリルなどの材料を通して内部の温度を測定することができません。これらの材料は赤外線の波長を遮断または大きく減衰させるため、カメラはその向こう側の温度を正確に読み取ることができないのです。

その結果、窓ガラスや透明なプラスチックケース内の機器の温度を測定する際に問題が生じます。

放射率の影響

物体の表面の放射率が1でない場合、赤外線サーモグラフィーによる温度計測の精度に影響を与えます。異なる材質は異なる放射率を持っており、これが測定される温度に反映されるため、温度を正確に計測するには放射率の補正が必要です。

放射率の補正を怠ると、実際の温度と報告される温度の間に大きな差異が生じる可能性があります。

反射の影響

赤外線サーモグラフィーでは、周囲の熱源からの赤外線が物体表面に反射することも温度測定に影響を与える要因です。特に、金属や光沢のある表面は周囲の温度を反映しやすく、これが測定結果に誤差をもたらすことがあります。

正確なデータを得るためには、反射の影響を考慮し、必要に応じて補正を行うことが重要です。

温度範囲の制限

赤外線サーモグラフィーカメラの測定可能な温度範囲は通常、-20℃から2000℃までです。範囲外の温度では、カメラは正確な測定値を提供することができません。

このような制約は、極端に低温または高温の環境を扱う特定の産業分野での使用に制限をもたらします。

空間分解能の限界

一般的な赤外線サーモグラフィーカメラの解像度は320×240ピクセル程度に設定されており、この解像度では微細な温度変化を詳細に捉えることが難しいことがあります。高解像度のカメラを使用することで改善は可能ですが、高額な投資が必要になるため、コストとのバランスを考慮する必要があります

赤外線サーモグラフィーの応用分野

設備保守・点検

赤外線サーモグラフィーは、工場のプラント設備や建築物、道路などのインフラの維持管理に不可欠なツールです。特に、機械設備のベアリングや電気回路の過熱を早期に発見することで、大規模な損害や停止時間の削減に貢献します。

定期的なサーモグラフィースキャンにより、予防保全の一環として設備の健全性を評価し、故障が発生する前にメンテナンスを行うことが可能となります。

安全・セキュリティ

赤外線サーモグラフィーは、安全とセキュリティの強化にも役立ちます。感染症の流行時には、大勢の人々の中から体温が異常に高い人を迅速に識別するために使用されることが多いです。

また、夜間や視界を遮る環境下での自然災害の監視、工場の生産ラインのチェック、不審者の侵入検出など、多様なシナリオで活用されています。

材料・製品の評価

自動車業界では、赤外線サーモグラフィーを使用して鋼板の衝突吸収エネルギーを評価します。また、半導体製造の分野では、微細なパワーデバイスの不良部分を特定するためにも用いられます。

温度が不均一な場所を特定することで、製品設計の改善や製造過程での品質管理が行えるため、最終製品の信頼性が向上します。

温度分布の可視化

赤外線サーモグラフィーを利用することで、対象物の温度分布を直感的に理解できる視覚データを提供します。色分けされた温度マップを通じて、ユーザーは温度の異常がある部分を瞬時に識別でき、必要な対策を迅速に講じることができます。

エネルギー管理、環境モニタリング、医療診断など、広範囲にわたる分野で有効活用されています。

まとめ

赤外線サーモグラフィーは、その非接触かつ広範囲にわたる測定能力により、多様な産業で価値あるツールとして確立しています。表面温度の測定に限られるという制約があるものの、適切な技術の使用によって、保守・点検から安全確保、環境監視まで、広範な応用が可能です。

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