レーザーダイオード(半導体レーザー)とは? 仕組みや用途例を解説
レーザーダイオード(半導体レーザー)は様々な用途で用いられている、半導体を活用したレーザーの一種です。私たちの生活圏においては、CD・DVD・BD等の光ディスクへの「読み込み」に用いられているのが一般的にはイメージがしやすいかもしれません。
この記事では、半導体の概要や用途例の他に、光通信に用いられている2種類のレーザーダイオード(FBレーザー / DFBレーザー)についてご紹介しています。
レーザーダイオード(半導体レーザー)は様々な用途で用いられている、半導体を活用したレーザーの一種です。私たちの生活圏においては、CD・DVD・BD等の光ディスクへの「読み込み」に用いられているのが一般的にはイメージがしやすいかもしれません。
この記事では、半導体の概要や用途例の他に、光通信に用いられている2種類のレーザーダイオード(FBレーザー / DFBレーザー)についてご紹介しています。
レーザーダイオードとは、媒質として半導体を活用したレーザーの一種のことを指します。半導体レーザーと呼ばれることもあり、一般的には半導体レーザー・レーザーダイオードのどちらも同じ製品のことを意味しています。近年ではレーザーダイオード(半導体レーザー)の出力効率・露光効率が向上しており、照明やディスプレイにも活用されるなど、様々な分野への適用が期待されているレーザーです。
レーザーダイオード(半導体レーザー)は、電流を流すことによってレーザーを発振させます。
基本的な構造は「活性層」を「P型クラッド層」と「N型クラッド層」が挟んだダブルヘテロ構造と呼ばれる形が基板上に作られています。N型クラッド層にマイナス、P型クラッド層には+となるように電極を繋ぐことで、電極から電流を流すことができます。N型クラッド層からは電子、P型クラッド層からは正孔が活性層に流れ込んでいきますが、正孔は電子が不足した状態です。そのため、正孔は活性そうで電子と結びつく「再結合」が発生します。
再結合が行われると高いエネルギーを持っていた電子はそのエネルギーを失い、失われたエネルギーは光に変換されます。これが半導体レーザーにおける露光の仕組みです。
レーザーダイオード(半導体レーザー)は、非常に高い指向性を持ち、非常に狭いスペクトル幅を持つ光を発生させることができます。この特徴により、レーザービームは長距離にわたってほとんど拡散することなく進行することができます。
この鋭いスペクトルは、レーザーが特定の用途に対して極めて精密な操作を可能にし、光学的な測定やデータ通信において、他の光源と比較して顕著な利点を提供します。
レーザーダイオード(半導体レーザー)では、電流を注入することで発生した光が、デバイスの両端に配置された2枚の反射鏡の間で往復します。この過程で光が増幅され、一定の閾値を超えるとレーザー発振が生じます。この原理により、レーザーダイオード(半導体レーザー)は非常に小さいながらも強力な光源を提供できます。
また、このメカニズムはレーザーダイオード(半導体レーザー)の効率を高め、エネルギー消費を最小限に抑えることにも寄与します。
レーザーダイオード(半導体レーザー)が発する光は、波長や位相が全く同じであるため、非常に高い干渉性(コヒーレンスが高い)を持ちます。この高いコヒーレンス性は、光の波が一致して強化し合うことを可能にし、ホログラフィー、光ファイバー通信、光計測技術など、精密な光学的応用に非常に適しています。
レーザーダイオードによる高いコヒーレンスの光は、これらの応用分野において、他の光源では得られないレベルの精度と効率を実現します。
レーザーダイオード(半導体レーザー)は様々な用途で活用されますが、その機能ごとによって分類をすると以下の9つに分類できます。
読み込み | CD・DVD・BD等の光ディスクへの読み込み |
---|---|
記録 | CD・DVD・BD等のディスクへの記録 |
加工 | 材料の溶接や切断加工 |
医療 | レーザー照射による治療 |
感光 | レーザープリンター・複合機など |
通信 | PC・スマートフォンなどの光通信 |
照明 | レーザー顕微鏡・ポインティングマーカ・プロジェクター・墨出し器など |
測定 | 道路距離測定・車間距離測定・建造物の高さ測定など |
感知 | ガスセンシング・ダスト管理・レーザーマウス・光スイッチなどのセンサ機能 |
光通信には「FBレーザー」と「DFBレーザー」の2種類の半導体レーザーが使い分けられています。
FBレーザーはファブリーペロレーザーと呼ばれる半導体レーザーです。FBレーザーはシンプルな構造のレーザーダイオード(半導体レーザー)であり、光通信以外の用途でも用いられます。
DFBレーザーと比較されることも多いのですが、FBレーザーは単一でのレーザー発信が困難であるため、光通信用途よりもCD・DVD・BD等の読み込み/記録やプレンター等の観光に向いているレーザと言えます。
長距離の光通信には向いていないFBレーザーと比較して、DFBレーザーは単一の波長のみレーザー発振することが可能であるため、長距離かつ高速が求められる光通信に適しています。DFBレーザーの構造はN型クラッド層に「回折格子」と呼ばれるギザギザがあり、この回折格子に光が当たることで光みが増幅されます。この構造によって単一でのレーザー発振が可能となっています。
レーザーダイオード(半導体レーザー)には寿命があり、寿命を迎えても使用を続けると電気デバイス自体が使えなくなります。
レーザーダイオード(半導体レーザー)寿命は動作環境・波長・出力の仕様によって異なりますが、平均的には10,000時間であると言われています。しかし、動作環境との関係によって最大半分の時間まで寿命は縮小されてしまいます。
寿命が減少する動作環境として意識すべきポイントは「温度(10℃以上)」「電源ノイズ」「静電気」などが上げられ、これらはレーザーダイオード(半導体レーザー)の寿命に関わってくるため気をつけて動作環境を選択するようにしましょう。
今回はレーザーダイオード(半導体レーザー)についてご紹介しました。ダブルヘテロ構造によるレーザーダイオードが露光する仕組み、9つの用途例、光通信に用いられる2種類のレーザーダイオードの技術、そしてレーザーダイオードの寿命について、それぞれご紹介しています。
エボルトではレーザーダイオードに関連する装置を含め、様々な半導体関連のおすすめ製品をご紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。