ETFEフィルム 素材の特徴やPTFEとの違い、用途を解説

ETFEフィルム 素材の特徴やPTFEとの違い、用途を解説

ETFEフィルムは、フッ素樹脂のなかでも特に透明度の高いETFEを使用したフィルムです。耐候性や耐熱性・耐寒性など様々な面で優れた特徴を持つため、幅広い場所で利用されています。本記事では、ETFEフィルムの素材の特徴やPTFEと比較した優位性、用途などを解説します。

ETFEフィルムとは?

ETFEフィルムとは、フッ素樹脂の一種であるETFE(Ethylene Tetra Fluoro Ethylene)を基材としたフィルムです。

耐熱性、耐寒性、非粘着性、低摩擦性、耐薬品性、電気絶縁性など、フッ素樹脂に共通する優れた特徴を持ちます。また、ETFEはフッ素樹脂の中でも特に透明性が高いため、人の目に触れる場所に使用しても視覚的に影響が少ないのが特徴です。

ETFEフィルムの特徴

軽量性と安全性

ETFEフィルムは非常に軽量です。そのため、建築物への荷重負担が大幅に軽減され、構造躯体の軽量化や建設コストの削減が実現できます。耐震性の面でも優位性を発揮し、地震時の破損や落下のリスクを最小限に抑えることが可能です。

万が一の衝撃時でもガラスのように破片が飛散する危険性がなく、優れた安全性を備えています。

透明性と光透過性

ETFEフィルムは高い透明性を持ち、可視光透過率が非常に高いのが特徴です。室内への自然光の取り入れが格段に向上し、明るく開放的な空間を創出できます。

照明エネルギーの大幅な削減も実現でき、省エネルギー性能の向上にも大きく寄与します。

耐久性

ETFEフィルムは卓越した耐候性と耐薬品性を持ち、過酷な環境下でも変質や劣化が少なく、長期間にわたり高い透明性と強度を保持します。紫外線への抵抗力も強く、経年による黄変や脆化が起こりにくいため、屋外での長期使用における信頼性が非常に高くなっています。

加工性と多様な用途

ETFEは優れた熱可塑性を持ち、押出成形法や射出成形法、ブロー成形など多彩な加工方法に対応可能です。電線被覆材からグリーンハウス用フィルム、建築用膜材まで、産業用途から建築分野まで幅広い分野で活用されています。

環境性能

ETFEフィルムは超軽量という特性から、製造工程でCO2排出量を抑制できます。リサイクル性にも優れ、環境負荷の少ない建材として評価されています。

廃棄時の環境負荷も小さく、サステナブルな建築材料としての価値も評価が高いです。

PTFEフィルムとの比較

現在主流なPTFEフィルムの課題

フッ素樹脂の一種であるPTFE(Poly Tetra Fluoro Ethylene)は、他のフッ素樹脂と同様に非粘着性・低摩擦性に優れており、汚れが付着しにくい性質を持ちます。その性質を生かし、私たちの身近なところでは、フライパンのコーティングにも使われています。

このPTFEをシート状にして粘着性を付与したPTFE粘着フィルムは一般的なフッ素樹脂粘着フィルムとして現在広く普及しており、建築物や工場設備をカバーし保護する用途で使用されています。

しかし、PTFEフィルムは完全な透明にはならず、茶色がかった色や、白く濁った色になってしまいます。そのため、フィルムを貼り付けたものの外観・デザインを損ねてしまうなどの課題があります。

ETFEフィルムの可能性

一方で、同じくフッ素樹脂の一種であるETFEは、非粘着性・低摩擦性を持ちながら、高い透明性を持ちます。

先ほど紹介したPTFEフィルムは色が付いてしまうため使用シーンが限定されていましたが、ETFEフィルムは透明なので、使用範囲は大きく拡がります。ETFEの透明性を生かし、外観・デザインを損ねずに建築物や工場設備、窓ガラスなどを保護することができます。

しかし、ETFEフィルムはその可能性を期待される一方で、強力な粘着性を付与することが難しいとされてきました。

ニッパ株式会社のETFE粘着フィルム


ニッパ株式会社のETFE粘着フィルムをご紹介します。ETFE(透明なフッ素樹脂)に強力な粘着性を与えることはこれまで困難でしたが、ニッパ株式会社は独自技術でこれを実現。透明性と粘着性を両立したフッ素樹脂粘着フィルムとして、建築物・設備・車載用途など幅広い分野で活躍します。

ETFE粘着フィルムの特長

耐候性

テープのベース基材であるETFEフィルムは実曝30年以上相当の耐候性を持ち、太陽光や雨等にさらしても劣化しづらい特長があります。

耐熱性 / 耐寒性

高温・低温の環境下でも問題なく使用可能です。

ETFE:-200℃~200℃
シリコーン:-50℃~250℃

耐薬品性

アルカリ、酸にも耐性を持ちます。ETFE粘着フィルムを金属部品などに巻くことで、薬品の付着による劣化を防ぐことができます。

耐食性

ETFEには耐食性があります。設備などをETFE粘着フィルムでカバーすることで、腐食を防止し、寿命を伸ばすことが可能です。

追従性

伸び率は400%以上と高く、さまざまな形状や表面に適応可能です。

絶縁性

PTFEと同等の絶縁性を持ちます。

PTFE粘着フィルムとの比較

一般的に普及しているPTFE粘着フィルムと比較した際、ニッパ株式会社のETFE粘着フィルムは高い透明性を持つとともに、剛性と伸びに優れています。また、マットタイプのETFE粘着フィルムは、PTFE粘着フィルムとほぼ同等の滑りやすさを持ちます。


ETFE粘着フィルムの用途例

屋外用保護フィルム(設備保護)

  • 5G基地局の設備保護
  • 熱交換器(工場設備)の保護
  • 太陽光パネル、ペロブスカイト太陽電池
  • 看板などへのラクガキ防止

ヒートシール用耐熱離型/耐熱絶縁

  • ヒートシール用耐熱離型
  • 高温環境で使用する絶縁材

製造設備の保護/滑り助長

  • 塗料付着などの軽減
  • 部品の滑り助長
  • 金属部品への耐薬品性の付与