食品製造業におけるDXとは?IoTプラットフォーム活用による成功事例をご紹介

食品製造業におけるDXとは?IoTプラットフォーム活用による成功事例をご紹介

人手不足や品質管理の高度化、さらにはコスト削減といった課題を抱える食品製造業において、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進が求められています。本記事では、DX化で実現できることや、実際にIoTプラットフォームを活用して成果を上げた食品製造業の成功事例をご紹介します。

食品製造業におけるDX/IoTの重要性

食品製造業は、製品の多様性や製造プロセスの複雑さ、そして何よりも厳格な品質管理と衛生管理が求められるという特性を持っています。現場で長年培われてきた経験やノウハウが重視される一方で、以下のような課題がIoTを活用したDX化の必要性を高めています。

労働力不足と高齢化

生産年齢人口の減少と従業員の高齢化により、熟練技能の承継や人員確保が困難になっています。

働き方改革

時間外労働の削減や多様な働き方の実現が求められる中で、効率的な生産体制の構築が急務となっています。

品質管理の高度化

消費者の安全・安心への意識の高まりに応え、より高度でトレーサブルな品質管理体制の構築が求められています。

環境負荷の低減

カーボンニュートラルの実現に向け、エネルギー効率の改善や廃棄物削減など、環境負荷低減への取り組みが不可欠です。

これらの課題を解決し、持続的な成長を実現するためには、従来の経験や勘に頼るだけでなく、データを活用したアプローチによる生産性向上、品質向上、そして効率的な経営が不可欠となります。

食品製造業のDX/IoTで実現できること


生産工程効率化

各製造ラインや設備の稼働状況をリアルタイムに把握することで、設備にトラブルが生じた際にもすぐに対応することができる。また、サイクルタイムやアイドルタイムを可視化し、分析することで、ボトルネックや無駄を特定・改善できる。

品質向上

検査データや不良発生状況をモニタリングし、温度・湿度・圧力などの環境データとの関連性を分析することで、食品の品質異常の発生を未然に防ぐことが可能。

経営指標の算出

生産実績、歩留まり、原価率などの経営指標をデータで把握することで、迅速かつ的確な意思決定につなげる。

制御・自動化

得られたデータを加工し、エッジやゲートウェイと連携することで、製造工程の制御・自動化を実現。

トレーサビリティ強化

原材料の入荷から製品の出荷までの情報を一元管理することで、不良品発生時の原因究明や影響範囲の特定を迅速に行うことが可能に。

予知保全

設備の振動、電流、油圧などのデータを継続的に監視することで、故障の兆候を早期に発見することが可能。突発的な設備停止を防ぎ、メンテナンスコストを削減。

省エネルギー化

電力使用量を機器や設備ごとに詳細に把握することで、無駄なエネルギー消費を特定・削減できる。適切なデマンド管理により、電力料金を最適化することも可能。

食品製造業のDX推進でよくあるお悩み

日本の食品製造業が持続的に成長していくためにIoTを活用したDX化は重要な鍵となりますが、その推進には、食品業界特有の課題や悩みが存在します。

現場のアナログ文化

長年の習慣や経験に根ざしたアナログな業務プロセスが多く、デジタル技術の導入に抵抗感がある。

IT人材の不足

製造現場におけるITスキルを持つ人材が不足しており、DXを推進できる人材の育成が課題に。

既存システムとの連携

既に導入されている生産管理システムや基幹システム(ERP、MESなど)とのデータ連携が複雑で、スムーズな情報共有が難しい。

衛生管理・品質管理基準

食品製造現場特有の衛生管理基準や品質管理基準を満たしつつ、IoT機器を導入・運用することへのハードルが高い。

外部ベンダーとの連携

製造現場のプロセスや課題を外部のITベンダーに理解してもらうことが難しく、期待した効果が得られないケースも。

現場主導でのDX推進の重要性

このような状況を打破し前に進めていくためには、マネージャー層だけでなく、実際に現場を担う担当者の主体的なリーダーシップが今まで以上に強く求められます。特に、現場で業務を熟知している担当者が自ら課題意識を持ち、改善の方向性をリードしていくことが、DX成功の鍵を握ると言っても過言ではありません。

現場の人で扱えるIoTプラットフォームがDX推進に貢献

だからこそ、現場の視点に立ったツール選定が非常に重要です。単なるIT導入ではなく、現場のリアルなニーズと制約に即した使いやすさ・柔軟性・拡張性を備えたソリューションが有効です。ここで力を発揮するのが、IoTプラットフォームの存在です。

これらのIoTプラットフォームは、現場におけるアナログ業務の可視化や既存システムとの柔軟な連携、品質管理の高度化といった課題を解決するための強力な基盤となります。これにより、現場のニーズを深く理解した「現場の人」が目的に合わせて柔軟に活用できるDX推進が現実のものとなり、食品製造業における持続可能な変革の第一歩となるのです。

「SensorCorpus」のご紹介




SensorCorpus(センサーコーパス)は、株式会社インフォコーパスが開発した純国産のIoTプラットフォームです。誰でも簡単に本格的なIoTサービスを利用できることをコンセプトに開発されているため、現場主導でのデータ活用を実現可能。食品製造業のDX推進を強力にサポートします。

SensorCorpusの特長

必要な機能をワンパッケージで提供

個別のシステム構築にかかる時間とコストを大幅に削減できます。

現場のあらゆるデータを集約

センサーやカメラなど、様々な機器や設備から取得したIoTデータを、SensorCorpusに集約・統合することができます。


現場主導での活用を促進

ノーコードでダッシュボード作成やデータ分析が可能となり、現場の担当者が自らデータを活用し、課題解決に取り組むことができます。


多様なデータ連携

ERP、MES、PLMなどの基幹システムや、AI、BIツールなど、様々なシステムとの連携が可能です。


食品製造業のDX/IoT事例

カルビー株式会社様は、DX化の中核となるIoT基盤としてSensorCorpusを採用しています。主要な生産プロセスにおいて発生する数千種類ものデータをSensorCorpusに集約し、多岐にわたる仮説検証を実施することで、工場のDX化において大きな成果を上げています。

ここでは加工、味付、包装といった工程ごとに、カルビー株式会社様で実際に行なわれているデータ活用法をご紹介します。


品質判定の強化(加工工程)

オンライン検査機器からデータを取得し、検査結果をSensorCorpusに格納。規格外の製品をリアルタイムに検知し、ダッシュボードで可視化することで、品質管理の精度を向上させています。

味材照合の自動化(味付工程)

バーコードリーダーを用いて使用する味材を照合し、誤使用を防ぐシステムを構築。エラー発生時には作業者へ即座に通知することで、品質事故を未然に防止しています。

トレーサビリティの実現(包装工程)

包装印字、検査画像、動画などのデータをオブジェクトストレージに保存・管理し、SensorCorpusのダッシュボードから直接参照可能に。製品の追跡調査を迅速に行い、問題発生時の対応を効率化しています。

日次の生産指標算出(全工程)

既存システムとの連携により、日次での生産指標の自動算出を実現しました。原材料投入時に記録される人員や資材の明細情報、ならびに出来高情報を、マスターデータベースおよびIoTデータから取得し、それらをSensorCorpusに格納・処理することで、品目(SKU)ごとの生産指標(原価率、ロス率など)を自動的にダッシュボード上に可視化。経営判断の迅速化に貢献しています。

食品製造業のDX推進を手厚くサポート

食品製造業におけるDX/IoTにご興味をお持ちでしたら、株式会社インフォコーパスにぜひご相談ください。お客様の課題やニーズに合わせた最適なソリューションをご提案いたします。

手厚い導入・運用サポート

当社がIoTシステムの導入から活用までを全面的にサポートします。PLCやセンサーデータの取得支援、ゲートウェイプログラムの提供、標準ダッシュボードによる見える化、ダッシュボード作成トレーニングなどを実施します。


目的別のパッケージ製品もご用意

電力、PLC、温湿度のデータ管理を手軽に始められるパッケージ製品「My First IoT」シリーズをご用意。現場のニーズに合わせてスモールスタートできます。省エネ・デマンド管理を可能にする「My First IoT 電力パッケージ」についてはこちらのページで詳しくご紹介しています。

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