特長
バイオマスナノファイバーの機能・特性
軽量・高強度:
鋼鉄の1/5の軽さであり、5倍の強度があります。樹脂、ゴム製品などに添加することで、強度アップや耐久性アップなどの効果が期待できます。
低熱膨張性:
温度変化に伴う伸縮は石英ガラス並みに小さく、添加することで樹脂などの熱伸縮を抑制するため、エンジン周辺部品や電子部品などの寸法安定性への効果が期待できます。
高親水性:
ナノファイバー化により比表面積が100倍以上に増大します。比表面積が大きいほど、水と接する水酸基の量が増え、親水性と保湿性が高くなります。
分散・乳化安定性:
水中でのナノファイバー同士による三次元ネットワーク構造を利用し、低粘度でありながら粒子を分散安定化できます。
環境対応型:
バイオマスナノファイバーの原料のひとつである樹木は成長過程でCO₂を吸収するため、カーボンニュートラルに貢献する環境対応型の素材となります。
多様な原料のナノファイバー
株式会社スギノマシンでは植物由来のセルロースだけでなく、カニ・エビなど甲殻類の殻を由来としたキチンやキトサン、カイコの繭を由来としたシルクなど、様々な原料のナノファイバーをラインアップしています。
BiNFi-sを産み出した独自技術「ウォータージェット製法」とは?
パルプ化した原料を水に分散させ、最高245MPaで加圧・噴射すると、原料はマッハ2の水流「ウォータージェット」になります。このウォータージェット同士を斜向衝突させることで、原料を解し、ナノファイバーを作り出します。水と原料だけを使用する、クリーンで画期的な製法です。
▼ウォータージェット製法のメリット
- 水と原料だけで製造するため、人にも環境にも優しい。
- 不純物の混入が極めて少ない。
- 連続処理による大量生産が可能。
- 重合度や結晶化度など、原料特性を維持。
- 高粘度や長繊維の原料にも対応。
- 繊維長や繊維径などのカスタマイズが容易。
様々な用途に対応するCNFをラインアップ
CNFは繊維径や繊維長、濃度によって特性やハンドリング性が異なります。そのため、用途・目的に合致したCNFを選択する必要があります。
BiNFi-sスラリータイプでは、2、5、10wr%の濃度が異なる3種類と、極短繊維から極長繊維までの繊維長が異なる多数のタイプを取り揃えています。
一例として、短繊維品は、保水性向上や触感改良などに、長繊維品は、樹脂・ゴムなどへの添加による補強、熱伸縮抑制などに適しています。
また、疎水性の樹脂にも複合化できる、BiNFi-sドライパウダーもラインアップに加わり、より応用の幅が広がりました。
機械解繊方式では最小クラスの繊維径
標準繊維長(WFo)の走査型プローブ顕微鏡(SMP)像から解析した結果、その80%以上が繊維径10nm以下でした。
BiNFi-sは、繊維解繊方式の中で、最小クラスの繊維径であり、結晶構造も維持した極細繊維です。
用途例
ケーキング防止剤・分散剤 |
BiNFi-sは少量添加(0.1wt%)で、時間 経過による強固なケーキングの形成を防止します。
また0.5wt%の添加で、食品や樹脂のような軽いものから、撥水性で水に馴染まない酸化チタン、比重の大きいダイヤモンドパウダーやパール顔料などを均一に分散維持できます。
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乳化剤・オイルのゲル化剤 |
水中油滴型(O/W型)、油中水滴型(W/O型)の乳化に対しても、BiNFi-sは有効に作用します。
BiNFi-sを使った乳化・ゲル化は常温でも可能で、熱に弱い成分の配合や作業工程の省エネルギー化を図ることができます。
またオイルの選択性が広く、様々な油種の乳液・オイルゲルを作製できます。
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増粘剤 |
チキソ性を付与することで、塗料などのスプレーの噴霧性と液だれ防止を両立します。
また界面活性剤で使用されるポリエチレングリコール(PEG)を増粘させることができます。
PEGと水の反応で生じる発熱を活かし、 温感ゲルとしても利用できます。
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塗料用添加剤 |
水性塗料にBiNFi-sを少量添加することで、塗膜の補強ができます。
アクリル塗料では塗膜の割れを抑制し、ウレタン塗料では引張強度を向上させます。
塗膜の引張試験では、未添加との優位差が確認できます。
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ゴム添加剤 |
BiNFi-sを添加した天然ゴム(NR)ラテックスのウェットマスターバッチの粘度は、BiNFi-sの繊維長によって異なります。これはラテックス中でのBiNFi-sの三次元ネットワーク形状によって生じる違いで、粘度調整が可能になります。
加硫・成形後のNR/BiNFi-s複合体の引張試験結果からは、繊維長の違いにより補強効果が異なることがわかります。極長繊維の場合、初期弾性率が大幅に向上する一方、極短繊維の場合、破断強度が向上します。また、極長繊維と極短繊維をハイブリッド添加することで、物性を制御できます。カーボンブラック(CB)添加品と比較すると、BiNFi-s添加品では低濃度添加でありながら、初期弾性率が非常に高いと言えます。加えて CBの比重2.0前後に対しセルロースの比重は1.5のため、大幅な軽量化も実現できます。
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補強材 (フィラー) |
BiNFi-sのドライパウダー(BFDP)とポリプロピレン(PP)を二軸混練機で複合化しました。PP/BFDP複合体フィルムでは、BiNFi-sは良好に分散し、凝集物は見られません。BFDPの少量添加により、結晶性樹脂の球晶サイズが小さくなり、樹脂の破壊進展が抑制されます。また、降伏点応力と弾性率の向上に加え、引張伸びと破断応力を向上する『タフ化』効果を付与できます。他にも、発泡樹脂への添加では気孔微細化効果があります。
炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の母材であるエポキシ樹脂に少量添加したBFDPは、炭素繊維間を架橋し、母材と炭素繊維の界面接着性を向上させるため、CFRPの疲労寿命が延長します。また、振動減衰効果も確認されており、スポーツ用品などへの活用が進んでいます。
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