サロゲートモデルとは?構築における3つのポイント

サロゲートモデルとは?構築における3つのポイント

物理シミュレーションのための独自AIを搭載したサロゲートモデルを紹介

サロゲートモデルの活用により、物理シミュレーション(CAE)や実験といった製品の評価を機械学習モデルで高速に行うことができます。本記事では、サロゲートモデルのメリットと課題、サロゲートモデル構築の3つのポイントをご紹介します。

サロゲートモデルとは?

サロゲートモデルとは、CAE解析をAI(機械学習)で代替し、高速化する技術です。サロゲート(Surrogate)は英語で「代理」「代行」という意味です。

CAEとは

CAE(Computer Aided Engineering)は、製品に性能的な問題がないかをコンピュータを使って検証する解析技法です。主に製品の設計段階で行われます。流体解析、構造解析、振動解析、熱伝導解析などがあります。

サロゲートモデルのメリットと課題

従来のCAEとの比較

CAEで正確な物理シミュレーションを行うには長時間の計算が必要ですが、サロゲートモデルを活用することでCAEの計算結果を高速に予測することができます。

CAEの計算結果が実験による計測データと乖離する場合にも、サロゲートモデルが有効です。実験データを学習したサロゲートモデルを活用することで、より実験に近い予測結果が得られます。

様々なメリットがある一方で、サロゲートモデルによる予測プロセスはブラックボックス化されやすく、計算の根拠を説明しづらいというデメリットがあります。

CAE(物理シミュレーション)

サロゲートモデル(機械学習)

計算時間

△ 計算に時間がかかる(数時間〜数日間)

◎ CAE解析と比較して、圧倒的に短時間(数秒~十数分)

実験との乖離

△ 実験結果と乖離することもある

◎ 応用次第では実験結果に即した予測が可能

説明可能性

◎ 物理計算に基づいている

△ ブラックボックス化され、計算の根拠を説明しづらい

CAEとサロゲートモデル、それぞれにメリット・デメリットがあるため適切に使い分けることが大切です。

サロゲートモデル構築の3つのポイント

ここでは、サロゲートモデルを構築する際の3つのポイントについて解説します。

複雑な形状のデータを3Dのまま扱えること

製品形状を詳細に理解できる、「グラフニューラルネットワーク」を用いたサロゲートモデルを採用しましょう。

サロゲートモデルには2つの種類があります。

  • 従来のニューラルネットワークによる機械学習を用いたもの
  • グラフニューラルネットワークによる機械学習を用いたもの


従来のニューラルネットワークでは、メッシュで表現されているデータを3Dデータのまま扱うことができず、画像等に変換する必要があります。製品形状を大まかにしか理解できないため、工業製品にみられるような複雑形状を扱うには不向きです。

一方で、グラフニューラルネットワークを用いたサロゲートモデルでは、メッシュで表現されている複雑な形状のデータを3Dのまま扱えます。複雑な形状を詳細に理解でき、工業製品にみられるような複雑な形状でも情報を失うことなく扱うことができます。

予測にかかる計算が高速であること

形状を詳細に理解できたとしても、従来の物理シミュレーションよりも大幅な高速化が達成できなければ、サロゲートモデルをCAEの代わりに活用するメリットは少ないと言えます。

複雑な形状のデータを3Dのまま扱うにはグラフニューラルネットワークを用いたサロゲートモデルであることが前提ですが、予測するための計算プロセスを最適化しないと、予測結果を得られるまでの時間が膨大にかかってしまうため注意が必要です。

回転・平行移動しても同じ予測結果になること

物体を回転・平行移動させても正しく同じ予測結果が得られるかどうかも重要なポイントです。

ディープニューラルネットワークに代表される多くのサロゲートモデルでは、同じ製品形状でも回転や平行移動させると、別の形状として取り扱います。同じ形状データでであっても予測結果が変わってしまうため、安定して正しい予測結果を得ることが困難です。

もちろん、大量の学習データを用意することで、予測の精度を上げることも可能です。しかし、データが増えると学習にかかる時間・コストも増加します。

サロゲートモデル「RICOS Lightning」



株式会社RICOSは、流体解析の結果をAIで高速・高精度に予測するアプリケーション「RICOS Lightning(リコス ライトニング)」を提供しています。流体解析の結果予測を高速に行うことで、製品の高機能化・開発のコストダウンに貢献します。


3つのポイントをクリアしたサロゲートモデル

複雑な形状のデータを3Dのまま扱える

グラフニューラルネットワークをベースにしているため、工業製品にみられるような複雑形状でも情報を失わずに扱えます。

高速な予測計算が可能

半日~数日かかっていた計算を10~20分に短縮したなどの抜本的な高速化に成功した実績もあります。

高精度で安定した予測が可能

物体を回転・平行移動させても、高精度で安定した予測が可能です。何千ケースといった大量の学習データを用意する必要もありません。

RICOSの特許技術

RICOSはグラフニューラルネットワークを使ってCAE結果を予測することについて特許を取得済みです(特許第6845364号)。さらに、物理現象の特性を組み込んだRICOS独自の機械学習アルゴリズム「IsoGCN(アイソジーシーエヌ)」モデルを採用することで、複雑な形状に対しても高速かつ高精度な予測を実現しています。

解析結果の予測を「誰でも」「手軽に」

RICOS Lightningは、直感的な操作性で、通常のCAEでよくある複雑な設定などは可能な限り排除して、シンプルに設計案の良し悪しを判断できる仕様にしています。また、Webブラウザを通じて、お使いの端末からご利用いただけます。

RICOS Lightningの検証・使用事例

自動車、機械(空調)、電気電子、建設、重工(航空 / 造船)など、幅広い業界の流体解析に適用可能です。スズキ株式会社様が本ツールの検証を推進している他、マツダ株式会社様、ダイキン工業株式会社様をはじめ、国内外の複数の自動車メーカー・機器メーカー等に導入いただいております。

自動車の空力解析

室内の気流解析

熱交換器の強制空冷解析

気液二相流解析

撹拌の解析

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